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経営思考の「補助線」/御立 尚資 [読んだ本]

少し前に出版された本ですが、たまたまオフィスの本棚に
置いてあったので読ませてもらいました。
(BCG社と取引があるので、同社の関係者の著書は数冊献本
されるのです)

著者はボストン・コンサルティング・グループの日本代表、
御立尚資さん。

もともとは日経ビジネスオンラインに連載していたビジネス・エッセイ
に加筆・修正したものですので、体系的にある特定のテーマに絞って
考察が加えられているものではありませんが、それでも一流の
コンサルタントならではのヒントが沢山詰まってました。

著者いわく、

「頭がこんがらがってしまうような幾何の問題でも、先生や、
 数学が得意な同級生の手にかかると、『補助線』一本で、
 鮮やかに答えが目に見えるようになる」。

ことから、この本のタイトルを思いついたそうです。

一流のコンサルタントは、物事をシンプルで的確な言葉で
鮮やかに表現できるんだなぁ、と感心しながら読みました。

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・BOPビジネス=彼らを十分に採算の取れる顧客とし、直接・間接に
 彼らが中流に向かって歩んでいくのを支援するビジネス

・ビジネスモデル=価値提供の仕組み + オペレーションの仕組み
 「価値提供」と「オペレーション」の仕組みの構成要素を(通常は、複数)
 変更し、自社の競争優位性を大きく強化することを、
 ビジネスモデル・イノベーションと呼ぶ

・これからの経営のものさしは、「お金」以外の希少資源を
 どう効果的・効率的に活用しているかを、はっきりと指し示すものである
 必要がある

・「我々が生きているのは、日本企業がグローバル化しながらも、
  日本国民にとっての雇用は『国の枠内にとどまったまま』の世界。
 
  つまり
  「企業にとっての最適解」≠「日本の働き手や社会にとっての最適解」」

・社会貢献
 「仕事を通じて、会社を成長させ、間接的に社会にも貢献する」という
 考え方から、「仕事を通じて、ダイレクトに社会貢献したい」と
 考える若者が増えている

・規模が拡大すると、それまでは問題とされていなかったさまざまな『力』、
 特に構造物そのものの自重の作用で、システム全体が崩壊するおそれがある

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経営思考の「補助線」

経営思考の「補助線」

  • 作者: 御立 尚資
  • 出版社/メーカー: 日本経済新聞出版社
  • 発売日: 2009/06/26
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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ワンピース(1-44巻まで) [読んだ本]

東北地方を襲った地震と大津波。

中でも福島県は、原発事故による放射線関連での
避難生活に加えて風評被害まで加わって、本当に
辛い生活を強いられていることと思います。

僕の住んでいる千葉県でも、浦安市では至るところで
液状化が発生し、町中が泥だらけの状況です。

心からお見舞い申し上げます。

そんな中で迎えた3連休。

ガソリン節約のため、しばらく運転を控えていた
車を、昨日、車庫から出す際に操作を誤ってぶつけて
しまいました・・。

テレビをつけても、震災関連の情報かACの説教じみたCM
ばかりですし、花粉症の症状が酷くなるのとともに、
なんとも、いまひとつ元気の出ないここ数日です。

こんなダメダメな状態のなか、車をぶつけた昨日は、
息子が友人から借りてきたワンピースのコミックを
25巻から44巻まで一気読みしました。
(1-24巻までは、先週末に同じように一気読みしてます)

読んでみて、これはある意味、下手なビジネス本よりも
学べることが多い自己啓発の本だなぁ、と感じました。


しばらく書評をサボってましたが、読んだ中で僕が気に入った
セリフを書き留めておこうと思います。

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「食いてェ奴には食わせてやる!!! コックってのはそれで
いいんじゃねェのか!!!」(6巻)

「たかがガキ一匹生かすためにでけェ代償払いやがった
クソ野郎だおれだって死ぬくらいのことしねェと クソジジイに
恩返しできねェんだよ!!!!」(サンジ 7巻)

麦わら海賊団のコック サンジが、仲間に加わることになった
エピソード中のセリフです。

サンジが働いていた海上レストランから、ルフィ率いる麦わら
海賊団に加わる別れのシーン。

「くそお世話になりました」と泣きながら頭を下げるサンジの
姿は泣けます!

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「おれは助けてもらわねェと生きていけねェ自信がある!!!」
 (ルフィ 10巻)

こう言い切れる人のこそ、本当に「強い」リーダーなんだと
思います。航海士として仲間に加わるナミのエピソード
からの一言です。

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「いいかい 優しいだけじゃ人は救えないんだ!!! 人の命を
 救いたきゃそれなりの知識と医術を身につけな!!! 
 腕がなけりゃ 誰一人救えないんだよ!!!!」(Dr.くれは 16巻)

「人は いつ 死ぬと思う…? 人に忘れられた時さ…!!!」
(Dr.ヒルルク 16巻)

連休中に地上波で映画が放映されました。僕が一番好きな
「ヒルルクの桜」というエピソード中のセリフです。

船医として仲間に加わる、チョッパーの物語でもあります。

ちなみに、チョッパーが旅立つとき、島に起こった奇跡を
描いたシーンでは、涙が止まりませんでした。

お気に入りのシーンとして、コミックからコピーして
手帳に貼り付けてます。

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「過去を無きものになど誰にもできはしない!!! …………
 この戦争の上に立ち!!! 生きてみせよ!!!!」
 (アラバスタ国王 23巻)

このエピソードもファンの間で人気だと聞きます。

このアラバスタ国王の言葉を聴いた部下が、
「かなわぬ・・」と泣きながらつぶやいたのが
印象的なシーン。

このあと、国に残ることを決めた王女ビビと、海賊団との
別れのシーンは、絵で描けるマンガでしか表現できない
名シーンだと思います。

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「生み出した船が誰を傷つけようとも!! 世界を滅ぼそうとも…!!!
 生みの親だけはそいつを愛さなくちゃならねェ!!! 
 生み出した者がそいつを否定しちゃならねェ!!! 
 船を責めるな 造った船に!!!男はドンと胸をはれ!!!!」
 (トム 37巻)

このセリフ。子供を持つ親なら、心が震える一言だと思います。

このエピソードでは、一人ぼっちで生きてきたロビンが
心から信じられる仲間を得る印象的なシーンがいくつも
出てきます。

世界政府を相手に大喧嘩をし、「仲間を一人、取り返した
だけだ!」と言い切るルフィが印象的です。


そして、44巻の最後では、長い航海を一緒にしてきた、
海賊船メリー号との別れが描かれています。

夜、一人で号泣してしまいました。


全巻「大人買い」?。「あり」だと思います。

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沈底魚 / 曽根 圭介著 [読んだ本]

江戸川乱歩賞受賞作!
眠れるスパイ「沈底魚」が動き出した。
正体は大物政治家か、それとも中国の偽装工作か。

真相究明に暗闘する刑事たちの姿をリアルに描いた、
本格公安ミステリー!

と言うことなのですが、正直、ちょっと残念な作品でした。

ストーリーはどんでん返しが多々あり、テンポも良いので
サクサク読めたのですが、この種の公安モノにありがちな
「凝りすぎ(二重スパイ、三重スパイの登場など、読んでいる
うちに訳が分からなくなる)」とか、「登場人物の描写が
ちょっと足りないので、感情移入できない」など、
期待したレベルではありませんでした。

江戸川乱歩賞受賞作、と言うことでハードルが
上がったのだと思います。

そういった先入観なしに読めば、質の高い
エンターテイメント作品です。

ちょっぴり辛口評価とさせていただきました。



沈底魚 (講談社文庫)

沈底魚 (講談社文庫)

  • 作者: 曽根 圭介
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2010/08/12
  • メディア: 文庫



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イシューからはじめよ / 安宅 和人著 [読んだ本]

久しぶりに「これは良い!」と感じたビジネス本です。

著者は、マッキンゼーでコンサルタントを経験した後、東京事務所で
新人教育を担当したという経歴を持つ方。

本書は、ご自身の経験にもとづき、知的生産の本質を説いたものです。

「優れた答えは、優れた問いから生まれる」

「優れた問い」に当たるイシュー(論点)を徹底的に、ぶれることなく
考え続けることで、質の高いアウトプットを生み出せること。

イシュー度が低く、解の質も低いところからはじめる努力・根性論は、
著者に言わせると「犬の道」である、と言い切っています。


こう書くと、「いつものコンサルタントが机上の論理を展開する自慢本か」
と思ってしまいますが、著者の姿勢は、決して現場を重視し、むしろ
良いイシューを立てるには一次情報が不可欠だという姿勢。

モノ作りの場合であれば、「生産ライン、調達の現場に立つ。
現場の人の話を聞く。可能であれば何かの作業を一緒にする」。

商品開発の場合であれば、「なぜそれを使うのか、どう使い分けているのか、
どんな場面でどう使っているのかなどを聞く」など、記述されている
アクションが具体的で、著者が実際にそう行動していることが分かります。

読みやすく、分かりやすく、しかも知的刺激に満ちたお勧めの
ビジネス本です!

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「カナヅチをもっていればすべてのものがクギに見える」という言い回しがあるが、このように目的を知らずにツールだけを使うのは危険だ

「悩む」=「答えが出ない」という前提のもとに、「考えるフリ」をすること
「考える」=「答えが出る」という前提のもとに、建設的に考えを組み立てること

「生産性」の定義は簡単で、「どれだけのインプット(投下した労力と時間)で、どれだけのアウトプット(成果)を生み出せたか」ということだ

バリューの高い仕事をしようと思えば、取り組むテーマは「イシュー度」と「解の質」が両方高くなければならない

うさぎ跳びを繰り返してもイチロー選手にはなれない。「正しい問題」に集中した、「正しい訓練」が成長に向けたカギとなる

イシューを見極めるためには「実際にインパクトがあるか」「説得力あるかたちで検証できるか」「想定する受け手にそれを伝えられるか」という判断が必要

「絵」や「図」はイメージをつかむためには有用だが、概念をきっちりと定義するのは言葉にしかできない技だ

良いイシューの3条件
1..本質的な選択肢である
2..深い仮説がある
3..答えを出せる

情報収集の効率は必ずどこかで頭打ちになり、情報があり過ぎると知恵が出なくなるものだ

定量分析の3つの型
1.比較(同じ量・長さ・重さ・強さなど、何らかの共通軸で2つ以上の
  値を比べる)
2..構成(全体と部分を比較する)
3.変化(同じものを時間軸上で比較する)

(実験には)2つの結果がある。もし結果が仮説を確認したなら、君は何かを計測したことになる。もし結果が仮説に反していたら、君は何かを発見したことになる。―エンリコ・フェルミ


イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

  • 作者: 安宅和人
  • 出版社/メーカー: 英治出版
  • 発売日: 2010/11/24
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)



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月読 / 太田 忠司 [読んだ本]

僕はSFど真ん中ではなく、でもSF的な要素が入った
設定で、ミステリー仕立ての作品に惹かれる傾向が
あって、宮部みゆきの「クロスファイア」や、
梶尾 真治の「黄泉がえり」は、すごく好きな作品です。

この連休に読み終わったこの作品も、そんな一冊です。

本書は、いつも通勤途中で立ち寄る地元の書店に、
手書きの紹介文付きでひっそり平置きされたいた
もの。

「月読」というタイトルからして、ちょっと引っかかる
ものを感じ、書店員のお勧めPOPで購入です。

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「月読」とは、死者の最期の思いを読みとる能力者。
月読として生きる朔夜が、従妹を殺した犯人を追う
刑事・河井と出会ったとき、さらに大きな事件が。

人は死の瞬間、何を思うのか。それを知ることに
意味はあるのか。地方都市で鬱屈する若者たちの
青春を描く、著者渾身の傑作ミステリー長篇。
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「月読」の世界では、人は死ぬとき「月導」という形を
残します。この月導はさまざまな形で現れ、冒頭のシーン
では「虹」、時には「岩」、そして「風」や「香り」など
様々な形で現れます。

そして、「月読」は、その月導を読み解く能力を持った存在です。

物語の主人公は、その月読である朔夜一心と、姪を殺された事件を
単独で追い続ける刑事・河井です。

そこに、卒業を控えた高校生など、一見、互いに関わりの
なさそうな登場人物それぞれの物語が、随所に登場する「月導」
を軸に交錯します。

作品の世界観は、ファンタジー的ですが、ストーリーはしっかり
したミステリー。

週末3連休は、雪で外出しなかったので、一日で一気読みしました。

人が死ぬときに残る「月導」。
それを残した死者の心と、読み解く「月読」は。

他界した祖父や父の月導がもしも存在するのなら、
月読に読み代(50万円!)を支払ってでも、読んでもらいたい。

そして、自分が残す月導を読まれたとき、くだらない内容に
ならないように、しっかりしなきゃ、と思いました。


月読 (文春文庫)

月読 (文春文庫)

  • 作者: 太田 忠司
  • 出版社/メーカー: 文藝春秋
  • 発売日: 2008/01/10
  • メディア: 文庫



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ハーバードの「世界を動かす授業」/ リチャード・ヴィートー、仲條亮子著  [読んだ本]

これはお勧め本です!

著者のリチャード・ヴィートー教授は、2009年にハーバード・ビジネス
スクールの優秀教官賞を受賞した人物で、その名物講義が、
本書の内容でもあるBGIE(Business, Government and the International
Economy)です。

昨年発売されてから、いろんな書評で「必読」と好意的な推薦が
されていたもので、ようやく読むことが出来ました。

この種の本って、高額なんですよね・・。

さて、その内容ですが、タイトルを見れば、学者が国際政治経済について
分析した結果を述べている本なのかなぁ、と思っていましたが、
読んでみると、その主張は熱く、大いに知的刺激を受ける内容でした。

国家、企業、国民が一丸となって戦うとはこういうことか、国家の成長戦略とはこういうことかと、目からうろこが落ちる思いでした。

驚くことに本書は翻訳ではなく、何と日本オリジナル出版。

道理で日本語に違和感を持つことなく読めた訳です。


肝心の内容は、日本、シンガポール、中国、インド、EU、ロシアなどの
発展を遂げた戦略の分析。

この国家戦略がストーリーで、連続性をもって語られていて、国家の役割が
経済発展においてどれほど重要か、場当たり的ではない、本当の成長
「戦略」とは何かを考えさせられた内容でした。


「素晴らしい戦略さえあれば成功するのかといえば、そうではない。
 戦略に合ったカードを持っているかどうかが大切なのである。
 
 つまり、戦うための資源や人材は揃っているか? 
 今が戦うタイミングなのか? 
 
 競合相手との違いを出して強みを活かしているかなど、
 自らの企業や国の立ち位置を見極めなければいけない」

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日本が世界市場に供給しうるのは、日本自身のエネルギー、すなわち
人力と石炭・水のエネルギーだけである。これをもって、日本は、輸入原料を
再輸出品に変えることができる

日本には資源はなかったが、強みがあった。人口の大部分が同じ民族で
構成されていたので、たとえば後述するインドのように宗教や人種や文化や
言語の異質性に対応することに多くの時間と政治的エネルギーを費やす
必要がなかったことだ

さらに非常に優秀な初等教育と中等教育、そしてすばらしい工学技術もあった。
実際、1971年のエンジニアの数は日本のほうが米国よりも、1人当たりだけで
なく総計でも多かったという驚くべき数字がある

日本は8つの産業に的を絞った。特定産業に関するさまざまな保護育成策を
打ち出し、石油化学、アルミ、工作機械、自動車、電子機器、鉄鋼、造船、
航空機産業の振興をはかった

当時、誰もシンガポールという小さな国がどこにあるのかも知らない中、
この官僚たちは熱心に一軒一軒の企業のドアを叩いて母国を売り込んで
回った。そしてとうとうナショナル セミコンダクター社を説き伏せて、
シンガポール視察に招くことにこぎ着けた

官僚、とくに首相や閣僚に、企業重役の3倍、4倍の給料を支払うことで
金銭的理由の汚職をする必要がないようにデザインしてある

今後、日本にとっても、NAFTAのような広域の貿易協定を他国と
結ぶことは重要な戦略のひとつとなるであろう
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ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方

ハーバードの「世界を動かす授業」 ビジネスエリートが学ぶグローバル経済の読み解き方

  • 作者: リチャード・ヴィートー
  • 出版社/メーカー: 徳間書店
  • 発売日: 2010/08/27
  • メディア: 単行本



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ラスト・チャイルド / ジョン・ハート (著) [読んだ本]

年末の海外出張の機内でたまたま読んだ週刊文春の
2010年ミステリーランキング海外部門で一位になって
いた作品。

あまり海外モノは読まないのですが、主人公が少年で
家族がテーマになったストーリーと言うことで
読んでみました。

とっても良い作品でした。僕は好きです。

著者のジョン・ハートは、前作の「川は静かに流れ」も
2009年の海外ミステリー部門で高評価を得ている、いま乗っている
作家だそうです。

主人公は13歳の少年ジョニー。

彼の双子の妹アリッサは1年前に誘拐されたまま、未だに行方
が分かりません。

この事件をきっかけに、ジョニーの家族は崩壊します。

父スペンサーが、事件後まもなく消息を絶ち、母キャサリンは
かつては地元で有名な美女でしたが、今では酒とクスリに身を
持ち崩し、街の有力者ケンの世話になっています。

野卑なケンは母子の家に入り浸り、キャサリンの肉体に溺れ、
ジョニーに暴力を振るう。

でもジョニーは、そんな荒んだ暮らしのなかで、妹アリッサの
行方を求めて、一人で近隣に住む性犯罪歴のある人間の周辺を
探り続けます。

事件は、ある日、ジョニーの目の前で男がオートバイごと
橋の上から撥ね飛ばされて落ちてくる、事故から急展開します。

その男は、息絶える前、駆け寄ったジョニーに

「あの子を見つけた。いなくなった少女だ」

と言い残します。

ショックで逃げ出したジョニーでしたが、「あの子」とは
アリッサに違いないと思い、事故現場の近くで出会った巨漢の黒人
のあとを追います。

このストーリーを軸に、アリッサの事件担当捜査官の地道な
捜査がからみ、特に終盤はテンポ良く、一気に読めます。

そして、鍵を握る巨漢の黒人は、頭は良くないけど、純粋で
善良な人物。脱獄囚ですが・・。

「グリーンマイル」に出て来るジョン・コーフィを想わせます。

そして、「グリーンマイル」同様に、彼はジョニーに、大きな
プレゼントを残してくれます。

ふつうの人間ではとても与えられないようなプレゼントです。


この作品、物語の背景が、とても悲しく暗いストーリーですが、
ラストに救いが待っています。

最後に分かる「ラスト・チャイルド」の意味。二重三重に
深い意味が託されいます。

良い余韻を残してくれる一位評価にふさわしい作品だと思います。


ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(上) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫



ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

ラスト・チャイルド(下) (ハヤカワ・ミステリ文庫)

  • 作者: ジョン・ハート
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/04/30
  • メディア: 文庫



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これからの正義の話をしよう/マイケル・サンデル著 [読んだ本]


遅ればせながら読了。かなり手強い本でした。

哲学分野の本としては異例のベストセラーになっている
本ですので、読まれた方も多いと思います。

本書は、ハーバード大学史上最多の履修者数を誇る哲学講義、
「Justice(正義)」を書籍化したもの。

年末にも教育テレビで実際の講義の模様が再放送されて
いました。

著者のサンデル教授の講義、学生との議論を、テレビという
映像と音声で伝えるメディアで視ると、何となく分かった
気になるのですが、いざ書籍で活字だけを追うとなると・・
大変でした。

内容は政治哲学。

古今東西の思想や、昨今の社会的問題を紐解きながら、
「幸福」「自由」「美徳」という3つの軸から「正義」に
ついて考えたもので、読解するにはかなり「知性」が
必要な一冊。

ハリケーン被害が起こったときの便乗値上げは正当化されるのか?
金融危機後の企業救済で人々が怒ったのはなぜか?
臓器売買や代理出産は間違っているのか?
優秀な人間が手に入れたものをすべて自分のものにすると
何が問題なのか?

など、確かに普段漠然と思っていた理不尽なことに、切れ味するどく
メスを入れて議論が進みます。

こういった具体論の部分は何とかついていけたのですが、
これらを題材にした哲学議論は、時間があっても一気には
読めませんでした。

相当頭が疲れます・・。

世間の風潮に流されることなく、自分自身の哲学を持って
正しく生きて欲しい。

きっと、著者の学生に対する熱い思いが本書の原点なのでしょう。

今の日本の大学に、こんな熱い教え手と、それに応えるだけの
熱を持った学生がどれだけいるのか?

日本の大学からも、こんな興味深い講義・書籍が発信される
ようになれば良いな、と思います。

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(金融危機後の企業救済に関して)怒りの源の一つは、ボーナスが
強欲への褒美のように思えたことだった

ある社会が公正かどうかを問うことは、われわれが大切にするもの
―収入や財産、義務や権利、権力や機会、職務や栄誉―がどう分配
されるかを問うことである

あるインドの村の貧しい農夫が何とかして子供を大学に行かせたいと
考えている。資金をつくるために、その農夫は片方の腎臓を移植を
必要としている金持ちのアメリカ人に売る。
数年後、二番目の子供が大学入学年齢に近づくと、別の買い手が
村にやってきて農夫の二つ目の腎臓に高額な値段をつける。
腎臓がなくなれば農夫は死ぬことになるが、二つ目の腎臓を売る自由を
農夫に認めるべきだろうか

他律的に行動するというのは、誰かが定めた目的のために行動することだ。
そのとき、われわれは目的を定める者ではなく、目的を達成するための
道具にすぎない

カントによれば、ある行動が道徳的かどうかは、その行動がもたらす
結果ではなく、その行動を起こす意図で決まるという

笛を配るとしよう。最もよい笛をもらうべきなのは誰だろうか。
アリストテレスの答えは、笛を最も上手に吹く人だ


これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

これからの「正義」の話をしよう――いまを生き延びるための哲学

  • 作者: マイケル・サンデル
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/05/22
  • メディア: ハードカバー



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ハーモニー/伊藤計劃、Story Seller 2、KAGEROU/齋藤 智裕 [読んだ本]

年末年始に読んだ本3冊について書きます。

1.ハーモニー/伊藤計劃

前に読んだ著者の作品「虐殺器官」が、真っ黒の装丁だったのに
対して、本作は真っ白の装丁。

タイトルも「ハーモニー」とやわらかい印象ですが、
この2作品で著者が描きたかったテーマは同じく
「人」でした。

21世紀後半<大災禍>と呼ばれる世界的な混乱を経て、
人類は見せかけの優しさと倫理が支配する“ユートピア”を築いていた。

そんな社会に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した……。

それから13年後。死ねなかった少女・霧慧トァンは、医療社会に
襲いかかった未曾有の危機に、ただひとり死んだはずだった友人の影を見る


舞台は21世紀後半。

拡散するテロと核兵器が引き起こした<大災禍>と呼ばれる
世界的な混乱を経験し、人類は大規模な福祉厚生社会を築きあげます。

Watch Meと呼ばれる医療分子を体内に取り込み、常に病気の危険を
駆逐することで、病気はほぼ放逐され、核兵器の使用により、
大量の「死」を経験した人類は、子供を「リソース(社会的公共資産)」
と位置づける。

こんな見せかけの優しさや倫理が横溢する新しい社会が舞台です。


前作を読んだときに感じたのですが、確かに手法はSFなのですが、
あまりに「ありえる感」が感じられる設定で、寧ろ現実感を感じる
描写が続きます。

これは作者の筆力が相当に高いことを示していると思います。

そして、著者がい「いま、現実に」起こっていること、一つ一つを
しっかり見据えた上で、自身の洞察力を駆使して、見通しているか
も大きいです。

「社会と個人のあり方」について、あえてSFという仮想の舞台を
設定した上で自身の考えをストーリーに織り込む。

本当に力のある作者だと思います。若くして夭折なされたのが
惜しい、本作を読むと心から思います。


2.Story Seller 2

以前から書店で見かけて、気になっていたのですが
購入せず、という本で、このたびは職場の同僚から借りて
読みました。

「日本作家界のドリームチームが再び競演。
 今回もオール読み切りで、読み応え満点。」
 
と言うことで、確かに旬の作家の読みきり作品が一まとめに
読めるお得本でした。

お気に入りは・・・

・合コンの話(伊坂幸太郎)

 相変わらずこの作家の作品構成には感心させられます。
 作品によっては「懲りすぎ」感がありますが、本作は
 そのアイディアマンぶりがしっかりと発揮されています。

・ヒトモドキ(有川浩)
 
 この作家の作品は初めて読みました。
 
 とてもユニークな視点で書かれていて、著者の他の作品を
 ぜひ読んでみたいですね。
 
 ・日曜日のヤドカリ(本多孝好)
 
 一番好きです。小学5年生の弥生さんと、血の繋がっていない
 お父さんのお話。
 
 決して涙を誘う話ではないのですが、最後はちょっと泣けました。
 こういう家族の形があったっていいな。あったかいなぁ。
 
 この作家の作品もこれから読み込んで行きたいです。
 
総括
と言うことで、いま旬の作家の作品が、一度に読めて、自身の
読書の幅も広げてくれる、良い企画だと思います!

3.KAGEROU(齋藤 智裕)

この年末の話題作。

いろいろと言われていますが、僕は好きです。

確かに、文章表現については、昨今の携帯小説に似た
そっけない感を感じました。

それでも、作者が表現したかったこと、読者に感じてもらいたい
と願っていること、は伝わる好作だと思います。

著者は「書きたい」テーマを見つけ、実際に「書いた」。

行動したことが素晴らしいのです。

それを読んだだけの僕らが、作品以外の部分、
例えば「受賞が出来レースだ」などど、公にコメントするのは
卑怯だと思います。


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者: 伊藤 計劃
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2010/12/08
  • メディア: 文庫



Story Seller〈2〉 (新潮文庫)

Story Seller〈2〉 (新潮文庫)

  • 作者:
  • 出版社/メーカー: 新潮社
  • 発売日: 2010/01/28
  • メディア: 文庫



KAGEROU

KAGEROU

  • 作者: 齋藤 智裕
  • 出版社/メーカー: ポプラ社
  • 発売日: 2010/12/15
  • メディア: 単行本



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回転木馬 / 柴田よしき著 [読んだ本]

東京・有楽町の三省堂書店で、書店員さんのお勧め本と
して平置きになっていた作品です。

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「逢いたい。もう一度彼に逢いたい」
十年前に失踪した夫・貴之を捜し続ける女探偵・下澤唯。

わずかな手掛かりを頼りに新潟、東京、長野と各地を巡る。

そんな、ひたむきに夫を追い求める唯の前に現われる、
それぞれ過去に心の傷を抱えた女性たち…。

唯が十年の月日を経てもなお夫に願うこととは?
希望と悲しみが交錯する、心震わす感動ミステリー。
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基本的に、感動系のうたい文句に対して財布の紐が緩いので。

この作品は、「観覧車」という前作の続編になっていますが
単独の作品としても十分楽しめます。

アマゾンなどでの書評では、前作の「観覧車」に対して
高い評価が出ている分、続編の本作に対して辛口の
評価が出ているようですが、初めて著者の作品を読んだ
僕にとっては、とても好感を持ちました。


正直、「心震わす」「感動ミステリー」ではありません。
謎解き的な要素はあまりありませんし、ポロポロ涙を
流すこともありませんでした。

全体に漂うのは「静謐さ」。

小説の舞台が、雪国であったり、雪の残る高原であったり
する設定も、著者の狙いなのでしょう。

おそらく前作で描かれた主人公の悲しみ・戸惑いといった
ゆれの大きな感情が、続編の本作では10年以上経過して
心のそこに静かに溜まったものとなっている様子が
しっかり描かれているのだと感じました。

登場人物すべての「これから」を期待する、そんな
余韻を残す佳作だと思います。


早速、前編の「観覧車」を読も!


回転木馬 (祥伝社文庫)

回転木馬 (祥伝社文庫)

  • 作者: 柴田 よしき
  • 出版社/メーカー: 祥伝社
  • 発売日: 2010/07/23
  • メディア: 文庫



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